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空想世界の宇宙への憧憬とボーイミーツガール。月とライカと吸血姫の感想・書評

投稿日:2017年4月4日 更新日:

 

 

こんばんわ! となりです。今回は、挨拶を除けば初めてとなる感想記事となります。

画面前で難しいことをしながら書いていますが、同時にワクワクもしています。それではよろしくお願いしますー。

それからネタバレ注意で!

 


ガガガ文庫より発売「月とライカと吸血姫」

 

月とライカと吸血姫_画像

 

※ネタバレ注意

 

  • タイトル:月とライカと吸血姫
  • 出版社:ガガガ文庫(小学館)
  • ジャンル:吸血鬼が宇宙飛行士系SFファンタジー(?)
  • 発行日:2016/12/20

記念すべき第一回に選んだのは小学館・ガガガ文庫より刊行された「月とライカと吸血姫」となります。

あらすじは以下。

 

宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女の物語。

人類史上初の宇宙飛行士は、吸血鬼の少女だった――。
いまだ有人宇宙飛行が成功していなかった時代。
共和国の最高指導者は、ロケットで人間を軌道上に送り込む計画を発令。『連合王国よりも先に、人類を宇宙へ到達させよ!』と息巻いていた。

その裏では、共和国の雪原の果て、秘密都市<ライカ44>において、ロケットの実験飛行に人間の身代わりとして吸血鬼を使う『ノスフェラトゥ計画』が進行していた。とある事件をきっかけに、宇宙飛行士候補生<落第>を押されかけていたレフ・レプス中尉。彼は、ひょんなことから実験台に選ばれた吸血鬼の少女、イリナ・ルミネスクの監視係を命じられる。

厳しい訓練。失敗続きの実験。本当に人類は宇宙にたどり着けるのか。チームがそんな空気に包まれた。
「誰よりも先に、私は宇宙を旅するの。誰も行ったことのないあの宇宙から月を見てみたいの」
イリナの確かな想い。彼らの胸にあるのは、宇宙への純粋な憧れ。

上層部のエゴや時代の波に翻弄されながらも、命を懸けて遥か宇宙を目指す彼らがそこにはいた。宇宙に焦がれた青年と吸血鬼の少女が紡ぐ、宙と青春のコスモノーツグラフィティがここに。

出典:Amazon内月とライカと吸血姫ページより

 

総評

 

まずは点数評価制で行こうと思います。

10点満点制になりまーす。

 

  • テーマ:7
  • ストーリー:7
  • キャラクター:8
  • 文章:8
  • エンタメ性:6
  • 総合評価:7

 

果たしてこれが辛口評価なのか、どうなのか。ちょっと自分では判断に苦しむところではありますが、総評を。

それから何度も書くようで恐縮ですけど、ネタバレ注意で。

 

あらすじから分かる通り、宇宙ロケットの飛行実験に国力を注ぐ共和国で、人類初の宇宙飛行士として偉業を夢見る主人公が、飛行実験体として扱われ、国民全体から「呪われし種」と忌避されている吸血鬼の少女と出会い、少女と共に、「神の領域」である宇宙を目指すお話。

 

作者は、あの「ペルソナ5」のシナリオチームに所属していた牧野圭佑先生。

氏の「小説」には初めて触れました。

点数表で分かる通り、序盤の文章から「ゲームっぽいな〜」というのが如実に表れていました。

 

テーマとしてはファンタジー世界で、宇宙を目指すボーイミーツガールでいいと思うんだけど、一つ疑問に思っているのが、SFという部分。

というのも、あらすじでも作者さんが明言しているけども、本作で語られている技術などは、僕達が現在住む地球の史実に基づいたもの占められており、Science Fiction(空想科学)という言い方は何か違うようにも思える。

なので、まだ読んでいないようであれば、ファンタジー世界で、吸血鬼が宇宙を目指す、ボーイミーツガールなんだ! ぐらいの認識から入ることをオススメしたい。

 

ストーリー・テーマ

 

さて、そんなツッコミは置いておいて。

 

この吸血鬼+ファンタジー+ボーイミーツガールっていう語感。

とてもいいですよね。

ボクはボーイミーツガールが大好きなんですけど、最近はちょっと少ないかなーと感じていたりして、この小説に出会えたのが嬉しかった。

 

一応テーマとストーリーに7点をつけているわけだけど、ボクは基本的に加点方式で作品を評価するので、本作みたいに矛盾が特に無く、よっぽど趣向に合わないとかでも無ければこれぐらいの点数になるとは思います。

ただ3点が加点されなかったのにはそれなりに理由があって、舞台としては共和国と連合国がロケット飛翔技術で争っているのがこの物語の根本的な問題を提しているんだけど、本巻だと共和国側だけの描写で、対立している連合側についての情報がほぼ無かったのが惜しいかな、と。

 

まぁ続巻でやるのかもしれないけれど、今のままじゃ基本的に国内での内紛をスポットした状態になっているので、字面だといまいち緊張感に欠けていた。

ラストとかもフランツくんが遠心加速機に細工をしていたという事実の明記だけで、彼が誰に唆されたのか分からないし。地味なワンシーンで異動するよ〜とは言われてたけど、もう1つぐらいフランツが裏切りものだって不安を抱かせて乱調させるような一幕が欲しかったというのは偽らざる本音かもしれない。

 

後、クソほど非道な行いや発言をして、読者側の敵愾心を煽ったであろう、サガレヴィッチ副長官の沙汰にも納得が行かないところはある。

今のままじゃ、確実に爽快感は無い。折角潰れがいのある敵なので、是非とも立てないほどにボコボコにされてほしい。

 

キャラクター

 

個人的にライトノベルって、キャラクターがあってこそストーリーやテーマが輝くっていう理論を地で行っている媒体だと思うので、キャラクターの評価に関しては結構辛辣に行こうと思っていたんだけど、流石ペルソナ5チームのシナリオライターさん。

キャラメイクという部分では文句無し。

 

点数配分としてはぶっちゃけてしまうと、メインヒロインである「イリナ・ルミネスク」が7点で、主人公に1点という配分だったりします。

 

何を語るにしても本作で外せないのが、メインヒロインの「イリナ・ルミネスク」ね。

黒髪ロング、吸血鬼、味覚障害(先天的なもの)、人間嫌い、軍服女子なわけだけど、まぁ〜〜〜久しぶりに、デレていく女子っていいなと思わされました。

最初は人間である主人公のことを信頼してなくて「穢らわしい」とか、ともすればご褒美になるようなセリフを発するような娘だけど、酔うと、なんとも「愛らしい」絡み上戸になるのも最高に良い! こういう酔った女の子が後で酔いが醒めて悔しがる姿もまた乙なもんです。

そのシーンが無かったのが残念だったかな。

 

というのも、この作品って、前述してるとおりにボーイミーツガール! ってシーンが詰め込まれていて、彼と彼女以外に感情移入や共感を出来る隙間がほとんど無い。

これって作品によっては悪手になることもあるかもしれないけど、本作は違っていて、”作品を理解するために登場人物の行動に注意する”という描写ではなく、”登場人物を理解するために作品の行方に注意する”というものになっている。

これはあくまで推測にはなるけど、作者さんは、ゲームや脚本といった舞台や舞台装置を気軽に増やせない分野でとても活躍されていることもあって、キャラクターがページを進めるごとに成長または変化しているところも如実に感じられる描写が多いので、多分これはリソースの削減のためにリライトしていた中で身につけた技法なのかな? と勘繰ったりもした。

 

キャラを担当していたかはわからないけど、流石ペルソナ5の真ちゃんを創り出したチームの1人だなぁと思いました。

あとやっぱりテレビドラマとかやっていることもあって、キャラを魅力的に映し出す構成力も圧倒された。

 

文章

 

ちょっとビックリしたのが、文章。

正直セリフで場面を回すことが多いシナリオライターさんって、それなりにト書きは書けるけど、本職には……と侮っていたことを謝らないといけないかも。

 

訓練過程での場面描写が本当に読みやすくて、特に滑空し、受け身を取るまでの流れは、パラシュート降下の経験があるかなと思うぐらいだった。

 

後はキャラクターの項でも挙げている通り、セリフ回しは、こちらが舌を巻くレベル。あーイリナちゃんかわいい!

 

エンタメ性

 

正直エンタメ性については、とりあえず評価の一つとして入れてるけど、自分でも曖昧なところがあります。

エンターテイメントとしてどうだったかーということですね。この項目に関しては後々変えるなり消すなりするかもしれません。

 

さて、エンタメ性ということですが、この「月とライカと吸血姫」で一番エンタメ性に秀でていたと感じた要素、それはズバリ。

 

魔法も、特殊能力も無いファンタジー世界に、史実を取り入れながら、それでもちょっとした小道具や組織を利用し、ファンタジー(空想)として成立させて、世界観に独創性を持たせている部分

 

かもしれない。

昨今……まぁ最近は異世界転生モノが多いけれど、ちょっと前のラノベ業界だと「吸血鬼」というワードは新人応募の中でも特に多く含有されていたワードだというのを聞いたことがある。

それぐらいラノベ的には受けて、なおかつ競合が多いわけだけど、この作品って業界に多かった「ファンタジー」「吸血鬼」といったワードが含まれていた作品と似ているようで、魔法が存在しなかったり史実が引用されていたりで、言葉にできない聯立の仕方をしているような気がした。

 

ただ前述してるとおりに、敵として立ちはだかっているキャラの掘り下げが浅く、達成感は宇宙からの帰還という面である程度感じられるけど、敵を追い詰めた時のような爽快感が得られるかと尋ねられると疑問符がつく。

勧善懲悪であるべきとは言わないが、あれだけヘイトがあるキャラクターであれば、相応の報いを受けるようなシーンは欲しかったかもしれない。そこが加点が伸びなかった理由。

 

まぁ間違いなく、テーマやワードだけで見渡せば類似したものはあるけれど、その中身まで同質なものはない。と断言できるかもしれない。

控えめに言っても、良作です。

 

おしまいに

 

 

色々と書いてきたけど、どうだったでしょう。

一読者として思ったことを書き連ねたわけですけど、自分で読み返すと良く分かんないですよね、こういうの。

 

とにかく「月とライカと吸血姫」で一つ言えるのは、イリナちゃんが抜群に可愛いということ。

主人公も気に障るような言動ではなく、理知的に行動している……少しだけ荒ぶってるところもあるけど、それだってイリナちゃんのために憤っての行動だったので、僕的にはむしろよくやったと拍手したいぐらい。

 

今月4月には2巻も刊行されるとのことなので、人型初宇宙飛行士となったイリナちゃんと主人公の行く末に期待しながら終わりたいと思います。

 

読んでくれてありがとうございました。

 

-ラノベ

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