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ラノベ

『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』

投稿日:


電撃文庫より発売『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』

こんばんは。となりです。

日の出もどんどんと早くなり、夏が近づいていることが分かる5月ですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。

僕は仕事&仕事&仕事ということで、毎日日の出を見たあとに就寝するような生活になっているので、昼下がりの暖かい陽気に包まれることは滅多に無いですが、明らかに夜の気温が上がっているので、そこから夏の空気を感じています。

 

さて、そんな新緑の候にご紹介しようと思っているのが『僕(どくしゃ)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』。

表紙のイラストから分かる通り、作中季節が春となるラノベなわけですが、桜が散った今の季節だからこそ紹介すべきかなーということで、題材にしました。

個人的には超良作の判定ですので、是非ともネタバレ無しレビューを読んでいただき、買ってほしいなと思います。

ということで頑張って書いていきます!

基本情報

  • タイトル:僕(どくしゃ)と主人公(かのじょ)と二人のこれから
  • 出版社:電撃文庫
  • 著者:岬 鷺宮
  • 画:hiten
  • ジャンル:超王道純愛小説
  • 発行日:2017/04/08

あらすじ

 この物語さえあれば、他に何もいらない。この小説『十四歳』と、その中に確かに息づく主人公、トキコがいれば――
だが、彼女は俺の前に現れた。
灰色の毎日の始まりになるはずだった、新学年のホームルーム。黒板の前に立った彼女こそは、俺が手にした物語の中にいたはずの「トキコ」だった。
不器用に近づいていく二人の距離。
物語の中にいる「トキコ」と、目の前にいる「柊時子」のあいだで、奇妙に絡まってゆく想い。出会うはずがなかった読者と主人公の物語。その結末にあるものは――。

出典:電撃文庫公式サイト

『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』評価(※ネタバレ無し・まだ読んでない人向け)

概評

この小説で最初に感じたこと。

それは「おい、この表紙に写っているヒロインっぽい娘、某冴えないゲーム制作小説の加◯恵じゃねえか!」というものでした。

失礼といえば失礼なのかもしれませんが……まぁね、◯藤恵は可愛いからね。仕方ないんだよ。

 

まぁ読んでみたら、そんな失礼なことを一時でも思っていたのが申し訳なったんだけど。

 

物語はとても王道で、『十四歳』という作中内小説のヒロイン・トキコが好きな主人公・細野晃が、トキコにそっくりな「柊時子」と出会い、様々な葛藤や問題を乗り越えて、彼女トキコの真相にたどり着くというもの。

王道こそ正義という声もあるだろうけど、中には飽きが来るという感想を抱く人も多いと思う。

しかし、この小説は王道は王道でもどこかにはっとさせられるような仕掛け(セリフや描写)がたくさんあり、飽きが来ないような構成になっているのもグッドだと感じた。

 

主人公も、思春期特有の理想の女子への憧憬を、こちらがニヤニヤと微笑んでしまう程度に拗らせていることもあって、あー自分もこんなことを思っていたなーと非常に共感できた。

 

あとは、とにかく時子が可愛いに尽きる。

詳しくは後述になってしまうけど、まさに男性が一時は夢見るであろう文学少女! というのが、この小説で体現されている。

文学少女、と簡素に形容してしまうと人それぞれに受け取り方が異なるだろうから、もう少しだけ言葉を尽くせば、文学に傾倒してはいるが、どこまでも等身大な女子高生であり、コミュニケーション能力が難がありはするものの、それが却って僕らの共感を強めたという感じだろうか。

主人公の晃は作中内小説である「十四歳」を半ば信奉し、主人公であるトキコに初恋を自覚していることもあって、トキコに似ているという柊時子の細やかな所作について、これでもかと語る。

半ば信者トキコオタクによる対象トキコの常人では絶対に気づかないであろう魅力すら掬い上げて解説したレポートと化しているので、読んでいるこちらだってそりゃあ影響される。

 

普段であれば王道には王道の良い面と悪い面があるから、当然書評も一貫した態度は取れないんだけど、この作品に関しては悪く言う面がほとんど無かった。強いていえば単巻完結ということが残念な点かもしれない(笑)。

『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』をオススメしたい人

  • ①「黒髪」「ショートカット」「文学少女」「照れ屋」「引っ込み思案で自分(主人公)にしか頼ってこない」「客観的に物事を見れる女の子」のいずれかのワードにぴんときた人
  • ②甘酸っぱくてノスタルジックな気分に浸りたい人
  • ③昨今のラノベ業界のファンタジー展開に飽き飽きしていて、ぐっとくる現代ドラマが読みたい人
  • ④単調すぎるライトノベルの描写に飽き飽きしているが、ライトノベルそのものが持つエンタメ性は好んでいるため、今ひとつ一般文芸の棚に近寄ることができない人

以上4点。

①に関しては、さんざん前述しているので、そんな深く語る必要もないかもしれないが、まぁ時子のことである。今この記事を読んで、時子という女の子に少なからず良さを感じたという人は、是非とも読んでほしい。

②に関しては、高校生活を舞台にしており、数多の人々が夢見たであろう大好きな作品のあの娘が現実に!? という設定からして、オススメしない理由がない。

③に関しては、この作品が最近どんどん縮小傾向である超能力や魔法といった奇跡が存在しない純粋な現代ドラマなので、単純にオススメした。

④に関しては、ライトノベルらしい読みやすく明け透けな表現に飽きてきた人には、比喩を多用し、時子の所作を事細かに書いた本作が合うと思って書いておいた。

柊時子

本当に久しぶりに「いいなぁ、こんな娘が学生時代にいればなぁ」と想いを馳せるほどのヒロインに出会えた作品だった。

単純に性格や、イラストから分かる見た目が可愛いってのは一つあるが、それを抜きにしても思想や考え方というところが、普段自分が考えていることと合致していたこともあってどうしようもなく愛おしいなぁと思えるヒロインだったので、ここ最近は考え事などをしている時に、時子のことが脳裏に過ることも少なくない。

是非とも読んで欲しい良作!

『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』評価(※ネタバレ注意・もう読んだ人向け)

柊時子を語ると長くなる

まぁ時子の何がいいかというと、まずは単純に心底惚れこんでいた小説の中のヒロインが実際に実在しており、ましては自分のクラスで、自分以外が助けられないような立ち位置に立っていたという、彼女を取り巻く環境という部分は大きいとは思う。

 

しかし、それ以外にも彼女に良さというのは沢山ある。

まず1つ目はこの文面。

他人と同じことで安心感を得ようとすることと、他人と違うことで優越感を得ようとすることは、他人を軸にしている時点でおなじことである。
出典:電撃文庫『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』より

 

あっと言わされた。時子の14歳の時のことを赤裸々に綴った「十四歳」という小説の中に出てきた一文のようだけど、本当にあっと言わされたのを覚えてる。

最近のSNSでよく同調、顕示といった行為を見かけることが多く、それに比例するようにそれらの行為を小馬鹿にする人間というのもよくいると思う。

この言葉はそれらの一連の行為に対して、どちらも変わらないのではないかと疑問を呈すものだと個人的に感じ、引用した。そして、こうやって自分や他のものを多角的に見ようとしていることは、人間というものを諦めず、理解しようと努力しようとしている姿勢が見えて好ましいなと思う。

 

そして2つ目は恐ろしく単純。
馬鹿みたいに可愛くて、およそ2次元だからこそ許されるほどの品行方正な美少女なのに、自分の気持ちが悟られそうになると、電話がかかってきたと嘘をついて一度退避しようとしたりするような、浅ましくも愛らしいところ。
それが主人公にはバレてるとも知らず、通話する演技を続けるという部分も等身大の「十五歳」の少女を思わせて良かった。

要は、「こんな女の子、ラノベだからこそだよー」ではなくこんな女の子が世界中のどこかで自分と同じように日常を過ごしているのかもしれない……と想いを馳せてしまうところがいいのである。
もちろんこんなストライクの美少女がいないことなんぞ分かっているが、いるかもしれないと思わされた時点で何と闘っているわけでもないが、負けなのである。
そう、柊時子の魅力というものに負けたわけだ。

 

最後はこれ。とにかく、ムッツリスケベなところ。
作中内小説でのトキコ、そして作中での時子は文学少女特有の聡明さや清楚さが目立っていたように思うが、ラストで実はエロいことも興味があるということが判明する。
時子がエロコミを読み漁ってると読んだときは、僕だって嬉しかった。
エッチなことが好きな女の子を嫌いになる男なんぞ、ほぼいないでしょう。
文学少女で非常に聡明な物静かな女の子だけど、エロいことだって好き。芯だって通っている。
まぁ、好きにならないほうがおかしかった。

主人公に思うこと

終盤主人公は、自分が本で知っていた「トキコ」という存在が、柊時子が成長していってしまうに連れて消えてしまうような感覚を感じ、時子からの告白を断ってしまうわけだが、多分多数の人はその時点で主人公に嫌悪感であったり、拒否感を抱くのかもしれない。

それはある意味正解なことで、主人公は時子が成長してしまうことを否定しているわけだからだ。

まぁ作中内小説『十五歳』の下書きという名のラブレターを読んで、時子の気持ちを詳細に知り、結果的に自分に気づいて時子と結ばれるわけだけど。

 

正直、下書きを読んだ時点で気づくほどであれば、もっと前から気づけよ? 引き伸ばしなのか? と思ってしまう点もあるが、別の側面から見ると彼の気持ちというのは分からなくもない。

もし僕の前に理想の女の子が出てきて、その彼女が自分が知っている彼女ではなくなっていくさまを見たとき、果たして僕は彼女に対して同じ想いを抱えていられるのだろうかと言うと、そこには恐怖であったり不安がありそうだというのが本音だ。

ある意味、彼もまた等身大といえるのかもしれない。

『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』

久しぶりに頭をすっきりさせて、読めた作品だった。

別に何か難しいトリックがあるわけでもなく、戦闘があるわけでも無いので、ひたすら登場人物たちの感情を追うことだけに専念できた作品で、だからこそのめり込めた。

最近の電撃文庫は単巻モノで面白いものが沢山あるようなのでどんどん読んでいきたいとモチベーションアップに繋がったことも大きい。また読み直したい。

それではここまで読んでいただきありがとうございました。またお会いしましょう!

-ラノベ

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